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お知らせ 2024年8月

犬の食物アレルギーについて

犬の食物アレルギーについて

 

食物アレルギーは、食物に含まれるタンパク質に対し様々な免疫反応を引き起こし、かゆみなどの皮膚症状、嘔吐や下痢などの消化器症状を引き起こす病気です。

今回は、そんな食物アレルギーについてご紹介していきます。

 

 

原因

 

食物アレルギーの主な原因は、食物に含まれるタンパク質です。一般的に原因となりやすいタンパク質としては、牛肉、乳製品、鶏肉、小麦と言われています。しかし、その他のタンパク質が原因となる場合もあり、複数のタンパク質が原因となることもあります。

 

 

症状

 

食物アレルギーの症状としては、主に皮膚症状、消化器症状が認められます。

皮膚症状としてはかゆみ、脱毛、紅斑、二次的な細菌感染などを認めることが多いです。主に目周り、口周り、耳、腋窩、鼠径、会陰部、指の間に症状が出やすいと言われています。

消化器症状としては、軟便、下痢、嘔吐、排便回数の増加などを認めます

似たような皮膚症状を認める病気で犬アトピー性皮膚炎というものがありますが、犬アトピー性皮膚炎と異なり季節性がなく、かゆみ止めの治療薬に反応しづらいという特徴があります。

 

 

診断

 

かゆみを伴う皮膚疾患のうち、まずは細菌感染、真菌感染、ノミアレルギー、寄生虫などの感染性疾患がないか、皮膚検査を行い除外します。食物アレルギーでは二次的な細菌感染による膿皮症を引き起こしやすいので、感染が疑われる場合はそちらの治療が優先されます。感染を除去、治療してもかゆみなどの症状が残ってしまう場合、食物アレルギーに対する検査が行われます。

食物アレルギーの診断としてゴールドスタンダードな検査には、除去食試験と食物負荷試験というものがあります。また、診断の補助として血液によるアレルギー検査を行う場合もあります。

 

除去食試験

食物アレルゲンを含まない、食物アレルギー専用のご飯に変更することにより、かゆみなどの症状が改善するかを確認する試験です。食物アレルギーの場合、一般的には4~8週間ほどで症状が改善されます。注意点として、除去食試験中はおやつやハミガキガムなど、除去食試験として食べさせているもの以外の食べ物は、一切口にしてはいけません。食物アレルギー専用のご飯を食べてくれない場合、今まで食べたことのないタンパク質(ラム肉、鹿肉、ジャガイモ、魚など)や、後述するアレルギー検査で陰性であるタンパク質を利用したホームメイド食を使用する場合もあります。

 

食物負荷試験

除去食試験により症状が改善した場合、今まで食べていたフードに戻して症状が再燃するか確認するのが食物負荷試験です。これにより症状が再燃した場合、食物アレルギーと確定診断することができます。また、食物アレルギーの原因として疑わしいタンパク質を1種類ずつ添加していくことにより、食物アレルギーの原因タンパク質を特定することも可能です。

 

アレルギー検査

食物アレルギーの診断、治療の補助として、血液によるアレルギー検査を実施する場合があります。注意しなければいけないのが、アレルギー検査では食物アレルギーを確定診断出来ないということです。あくまでも、食物アレルギーの確定診断には除去食試験と食物負荷試験が必須になります。

 

 

治療

 

除去食試験、食物負荷試験、場合によってはアレルギー検査の結果を用いて、ご飯を選んでいきます。食物アレルギー専用の加水分解食や低たんぱく食、今まで食べたことのない新奇たんぱく食、ホームメイド食などを利用していきます。その子によって合うご飯は異なってきますので、どのご飯を選ぶべきか獣医師と相談した上で決定していきます。

なかには、アトピー性皮膚炎や細菌感染などの皮膚病を併発していることもあります。その場合はかゆみ止めや抗生剤などの飲み薬、消毒薬、シャンプーなどによる治療が必要になります。

 

 

まとめ

 

食物アレルギーは、犬の皮膚病のなかではとても多い病気です。しかし、原因を突き止めることが難しい病気でもあるため、慎重な検査、経過観察、治療が必要になってきます。皮膚に関することでお悩みの際は、是非一度当院へご相談ください。


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