動物別症例集 7ページ目
ウサギの軟部組織肉腫
軟部組織肉腫は皮下組織や筋肉などの軟部組織に発生する悪性腫瘍の一つです。発生部位は様々で、四肢・体幹・顔などです。この腫瘍は局所浸潤性が高く、転移は比較的低いと言われています。治療は外科的切除が一般的ですが、広範囲に切除しないと再発する可能性があります。その他の治療は抗がん剤や放射線治療などがあります。
猫の腸リンパ腫
猫のリンパ腫は消化管型と節外型が大半を占めています。消化管型は腸間膜リンパ節と肝臓に病変が認められることが一般的です。診断には超音波検査が有用です。治療は化学療法が主体になるが、反応が見られない場合は対症療法によるケアが必要になります。
アホロートルの異物
アホロートルは別名ウーパールーパーと呼ばれる両生類で、人気のあるペットとして知られています。しかし飼い方を間違えると病気になったり、まれに死んでしまうこともあります。アホロートルは目の前にあるものを飲み込む習性があるため、床材として使用される石や砂を飲み込んでしまうことがあります。便と一緒に出ることが多いのですが、サイズが大きいと詰まったりしてしまうことがあります。そのような時は麻酔による手術が必要になります。
犬の子宮蓄膿症
子宮蓄膿症は、子宮内に細菌が感染して膿がたまる病気です。元気や食欲がなくなり、下痢、多飲多尿、発熱や嘔吐などが認められることがあります。重症化するとショック症状や急性腎不全を併発することもあります。治療は、卵巣と子宮を摘出する手術です。急性腎不全やショック状態にある場合には、状態を安定させるために点滴や抗生剤の投与を行います。また、早期に避妊手術を行えば、子宮蓄膿症だけでなく、乳腺腫瘍、子宮癌の発症を予防することができます。
フクロモモンガの裂傷
俊敏性に優れ行動範囲が広いフクロモモンガは、狭いケージのなかでは落下したり体をぶつけたりしやすくなっています。相性が悪いと複数飼育の場合でも喧嘩などで傷になってしまうことがあります。そして自咬症が多い動物なので、その傷がさらに拡がってしまう可能性があります。小さな傷でも病院での消毒・抗生剤による治療が必要です。大きな傷は全身麻酔による縫合が必要となります。
ハリネズミの眼球摘出
ハリネズミの眼球が入っているくぼみ(眼窩)は比較的浅く、何らかの原因で眼球が容易に飛び出してしまうことがあります。その原因は先天性、外傷、肥満、生活環境不適合など様々です。軽度の場合は内科的治療(抗生物質・消炎剤の点眼薬や内服薬)などで完治することもありますが、重度の場合は外科的に摘出しなければなりません。もし目を気にしている様子ならば、早めに動物病院に連れて行きましょう。
セキセイインコの痛風
痛風は、タンパク質の過剰摂取や腎不全などが原因で、尿酸がたくさん血液中にたまり、産生された尿酸結晶の刺激によって起きる病気です。間接型痛風と内蔵型痛風に分かれ、 オカメインコやコザクラインコでも少数見られます。治療は、痛みを和らげ症状の進行を止めるような治療をしていきます。痛風治療薬の経口投与とビタミン、ミネラルの投与を行います。予防策は腎臓を保護することで、適度な保温、新鮮な水を十分与える、タンパク質の多いごはんを避けてビタミンを多く含む野菜を与えるようにします。
犬の東洋眼虫
東洋眼虫は結膜の奥や涙管の中、瞬膜の裏側に寄生する体長5~18mmの小さな白色の線虫で、感染当初はほとんど無症状ですが、成虫になり動き回るようになると、目ヤニ、結膜炎、流涙、瞬膜の炎症などを起こします。治療法は点眼麻酔を行い、まぶたや瞬膜の裏側や奥をチェックし、直接虫体を摘出して治療します。人獣共通感染症として人にも感染する可能性があるので注意が必要です。
フクロモモンガの陰茎切除
集団行動する動物であるフクロモモンガは、飼育下では単独飼育が多く、ストレスが原因で自分の体を自分で傷つけてしまいます。これを自咬症と言います。特に性成熟を迎えたオスは自分のペニスを咬んでしまうことがよくあり、多くは陰茎が完全に中に戻らなくなってしまいます。そうした場合麻酔下での陰茎切除が必要になります。フクロモモンガの陰茎は2本に分かれているため、分かれる根元を残すかたちで切除します。切除した部分をまた自咬しないために、カラーを装着します。
猫の会陰尿道廔
会陰尿道瘻術とは狭い陰茎尿道部分を切り取り、比較的広い骨盤尿道から直接排尿できるように尿路を作り替えてしまう手術です。特に雄猫に好発する尿道炎や尿石症などの原因で尿道が閉塞して起こる排尿困難を尿道カテーテルによる閉塞解除や内科的治療や食餌療法などで症状が改善しない場合や、再発を繰り返す場合にこの手術が適応となります。術後に尿道開口部が感染しやすいため、適切な管理が必要となります。