動物別症例集
デグーの骨折(後ろ足)
後ろ足を上げているというデグーさんで撮った
レントゲン写真がこちらです。
右後肢の大腿骨遠位の横骨折を起こしていることが疑われます。
デグーさんは結構骨折する動物さんで
足を上げたり痛がる様子が見られたりします。
治療としては、
痛み止めの薬を使ったり、
固定(テープや針を使用)したりします。
折れた場所によっては、
外科的に固定することも考えられます。
デグーの不整咬合
歯のかみ合せが悪くなった状態を不整咬合(不正咬合)と言います。
デグーの歯は切歯(前歯)・臼歯(奥歯)ともに一生伸び続け、硬いものをかじったりすり潰すことで削られていきます。
歯をこすり合せることが不足したり、ケージを齧ったりすると、歯が正常に削られずに不整咬合となります。
特に臼歯の不整咬合では一部分のみが削れて棘状縁という尖った部分ができ、それによる刺激で舌や頬の内側に潰瘍を形成することがあります。見た目に分かりづらく、症状がひどくなってから来院されるケースも珍しくありません。
症状は主に食欲不振と流涎(よだれ)で、そのほかに体重減少、くしゃみ、目やになどがみられることもあります。
また、牧草等の硬いものが食べられなくなることも特徴です。
一度不整咬合となったデグーは定期的な歯削りが必要になります。
不整咬合が軽度の子は無麻酔でも歯削りが行えますが、全身麻酔下での処置が必要な場合もあります。
不整咬合は予防が重要です。チモシー一番刈りのような繊維を多く含む牧草をたくさん食べてもらい、ケージ齧りを防止するために齧り木を用意しましょう。
デグーの子宮平滑筋肉腫
平滑筋細胞は子宮、胃、腸、全ての血管の壁、皮膚を含む身体のほとんどの部分で見られます。子宮の平滑筋肉腫は子宮の筋層にある平滑筋から発生し、抗がん剤治療や放射線治療が適応になりますが治療成績はあまりよくありません。デグーは腫瘍発生率の低い動物種と考えられていて、子宮に発生した平滑筋肉腫はほとんど例がありません。
デグーのペニス脱
デグーのペニス脱は発情期の雄でよく起こり、外傷・尿路系疾患でもなる場合があります。この状態を放置しておくと自分でかじったり舐めてしまったり、表面が乾燥してしまったりすると元に戻らなくなってしまうこともあります。最悪尿が出なくなり、亡くなってしまうこともあります。一般的には脱出したペニスを元に戻し抗生剤や消炎剤などで治療しますが、かじってしまった部分や乾燥して壊死した部分は外科的に切除したり包皮を縫合したりすることがあります。
デグーの脊索腫
脊索腫とは、通常胎児期のみに認められる脊索という機関が出生後も残存し腫瘍化したもので、一般的に尾の付け根辺りにできます。フェレットでは、通常尾の先端に塊状の腫瘍が形成されます。デグーの腫瘍については、情報が非常に少なく、他の動物に比べて腫瘍は少ないとも言われていますが、血管腫、肉腫、リンパ腫、歯牙腫、線維腫、線維肉腫などの報告があります。脊索腫は悪性度は低い腫瘍に分類されますが、デグーの脊索腫については文献による報告がなく、挙動や悪性度などは正確にはわかっていません。一般的に外科切除が推奨される腫瘍です。
※本症例は、病理専門医の近藤広孝先生執筆の元、海外の学術論文に掲載されました。
Kondo, H., Hara, K., Sukegawa, A., & Shibuya, H. (2018). Chordoma of the Tail in a Degu (Octodon Degus). Journal of Exotic Pet Medicine, 27(4), 1–4. https://doi.org/10.1053/j.jepm.2017.10.025
デグーの妊娠
メスは生後6ヶ月で性成熟を迎え、4歳くらいまで繁殖できます。オスとメスを同じ場所で飼育すると自然に交尾が行われますが、相性が合わなければ交尾・受精が行われないこともあります。メスの妊娠期間は約90日ほどで、平均3~6匹出産します。妊娠は洋梨体型・胎動・急激な体重増加などで判断する以外に、レントゲン・エコーなどでも診断できます。
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